事業報告

 令和元年度  現代的課題対応研修

学校とともにある地域づくり・人づくり推進セミナーA
(地域学校協働活動推進員研修会)

 
 期 日  令和元年9月6日(金)
 参加者  70名
 趣旨
 地域全体で子どもたちの成長を支え、地域づくり・人づくりを目的とした地域学校協働活動を推進するため、関係者の理解促進と地域学校協働活動推進員等の育成を図り、今後の取組の充実につなげる機会とする。
 活動の様子

【説 明】<事業説明>「地域と学校との連携・協働の方向性や考え方」

 福岡県立社会教育総合センター 指導主事
事業説明のようす はじめに、6月に開催した第1回の研修会に続き、3回シリーズの2回目として位置づけている本研修会のねらいと流れについて説明しました。
 国の政策の大きな流れとして、平成29年に改正された社会教育法や、平成30年12月中央教育審議会「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について(答申)」での、今後の地域における社会教育の在り方について、これからの学校と地域の目指すべき連携・協働の姿として、「学校を核とした地域づくり」の推進が求められていることを参加者の皆さんと確認しました。
 本研修会では、福岡県内における事例の発表や、今後の連携・協働の進め方等についての講義を通して、学校とともにある地域づくり・人づくりにおける関係者の理解促進と今後の取組の充実につなげる機会としています。

【研修1】<事例発表>
     @「福津市立福間中学校における地域学校協働活動」
       〜コミュニティ・スクールを基盤とした地域学校協働活動の取組〜

発表者:福津市立福間中学校 教諭  宮本 勝延 氏
 まず、福間中学校コミュニティ・スクールの組織や概要について紹介されました。「各学年のコミュニティ・スクール(CS)行事」の柱とそれぞれの活動について報告されました。地域貢献活動のポイントとして全校集会などで生徒への動機づけ、啓発を行い、自主的な参加を募る手法について説明していただきました。具体的な事例として、中学生のボランティア活動や学校行事に地域住民が積極的に参加していることなどについて報告していただきました。成果として、地域と学校の連携した取組を進めていくことにより「地域行事への参加が増え郷土に愛着を持つ生徒が増えたこと」や「地域の方との触れ合いを通して、生徒のコミュニケーション能力が高まってきていること」を参加者に伝えてくださいました。

      A「久山町地域学校協働本部」
        〜地域・学校を核とした協働本部の取組〜

発表者:久山町地域学校協働本部 統括コーディネーター 井上 久美子 氏
 はじめに、社会教育法改正からの経緯に合わせ、久山町として「地域学校協働本部」を設立する流れについて説明していただきました。協働本部が、学校や地域とどのような関係にあるのかについてや放課後支援活動、学習支援活動など具体的な活動内容について御紹介いただきました。町民の皆さんに活動内容を伝えるため、毎月発行される広報紙に協働活動の様子等についての記事を掲載し、啓発に努めてあるそうです。また、伝統と文化の継承を目的に、久しく途絶えていた「久山音頭」の復活へ向けた取組が進んできた成果についてもお話ししていただきました。

【研修2】<パネルディスカッション>
     「組織的な地域学校協働活動の推進について」

パネラー: 福津市立福間中学校 教諭 宮本 勝延 氏
久山町地域学校協働本部 統括コーディネーター 井上 久美子 氏
進行: 社会教育総合センター 指導主事
 パネルディスカッションでは、事例発表の中では伝えきれなかった部分について質問に答える形で進めていきました。「自身の地域での地域学校協働活動から見えてくる未来について」に関しての質問について、宮本氏からは「地域の人材確保や予算面などの課題を克服していきながら、学校教育との連携をさらに進めていきたいです。」と、井上氏からは「8900人の住民が一つの家族となり、将来を担う子どもたちを共に育てていく町になるよう、まずは、家庭・学校・地域のつながりを持つことが大切だと考えます。」と、お2人に答えていただきました。地域への深い愛情と期待を感じました。

【研修3】<グループ協議>
     「今後を見据えた計画的な地域学校協働活動の展開に向けて」

福岡県立社会教育総合センター 指導主事
 研修3では、第1回の研修会で出された「課題解決の方途」をより具体的にすることを目的にグループ協議を行いました。「人材の確保」や「行政との連携」など、28のキーワードを提示し、グループで2つのテーマにしぼりました。そのテーマについて、「いつ・どこで・誰が・何を・どんなふうに」取り組んでいくのか、それぞれの地域や立場からアイデアを出し合い、グループ内で意見を交流しました。今後の取組の具体的な方向性を考える有意義なグループ協議となりました。

【研修4】<講義>
     「地域とともにある学校に」〜協働する地域学校協働活動の実現に向けて〜

講師:宇部フロンティア大学短期大学部 教授  伊藤 一統 氏
 研修4の講義では、はじめに、伊藤先生の地元である山口県の学校教育の特徴やコミュニティ・スクール(CS)設置率100%の現状についての御紹介がありました。今後の地域と学校の連携・協働の推進に向けて、ポイントとなる「協働」と「構築」について分かりやすく解説していただきました。今後の推進に向け大切にしたいこととして、「地域の中に空気(文化)を育てること」や「地域というフィールドを広くとらえ、ネットワークをつくっていくこと」など具体的な事例を交えてお話していただきました。全国各地の先進事例を研究している伊藤先生のお話を聞き、受講者からは「コーディネーターであるために、どのようなことが大切かわかりました。」「協働活動のメリットがわかりやすく、理解できました。」といった感想が寄せられました。
 
 参加者の声
 【研修1】<事例発表>
中学生が地域のたくさんの行事に参加していることにびっくりしました。地域の方との連携が事例等を通して、とても参考になりました。
地域と学校をむすぶコーディネーターとしての活躍がよくわかる発表でした。「共・育」というテーマをかかげるなど、地域学校協働活動のねらいがわかりやすく参考になりました。
   
 【研修2】<パネルディスカッション>
2つの事例が学校側と本部側からの発表であり、いろいろな立場から考える事ができて、とても参考になりました。地域の特性(よさ)を把握することの大切さがわかりました。
   
 【研修3】<グループ協議>
色々な立場の方から、それぞれの話を聞けたのがとてもよかったです。コーディネーターの養成方法について議論ができて大変おもしろかったです。
   
 【研修4】<講義>
具体的な例を交えながら、お話をしていただき、勉強になりました。地域学校協働活動とコミュニティ・スクールの関係について整理できました。
伊藤先生が、様々な立場からでお活躍されていると知り、「ゆるやかに」つながるという姿を実践されているのだなと感じました。講義も雑学を交えてくださり、興味深かったです。
   
 【全体の満足度について】
@Aと参加させていただき、学びがつながっているように感じます。今日学んだことを周りの人に伝えて、実践につなげていこうと思います。
「地域に支援してもらうのではなく、地域をよくするために学校をつかう」という言葉が印象に残りました。「社会に開かれた教育課程」の方向性を学べました。