事業報告
 平成28年度

中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第
35回大会 
 
 主催
  福岡県教育委員会 日本生涯教育学会九州支部
 
 主管
  中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第35回大会実行委員会 
  福岡県立社会教育総合センター 
 
 期日
  平成28年5月21日(土)・22日(日)〔情報交換会5月20日(金)〕
 
 参加者
   情報交換会:51名
   1日目:391名 交流会:271名
   2日目:239名            参加者数合計(延べ)630名
 
    第35回大会 巻頭言

    テーマ 「未来の必要」への挑戦

 「地方創生」の推進と「一億総活躍社会」の実現等が叫ばれています。学校と地域が一体となって地域創生に取り組もうと言うのです。地方の知恵と工夫が問われています。
 一方で、今や地方は、過疎・人口減・地域消滅の危機的状況にあり、多くの地域課題を抱えています。このような中で、地域の活性化は、行政は基より、生涯教育実践者や「チーム地域」が抱える喫緊の課題になっています。「待ったなし」です。
 さて、中国・四国・九州地区の生涯教育・社会教育の実践者の皆様が、自らの活動事例を引提げて手弁当で集うこの「実践研究交流会」も、第35回目を迎えることになりました。本会が35回も継続できる背景には、各県の実行委員の皆様の地域の社会教育を「何とかせんといかん!」という熱き思いがあり、それが「手弁当方式」の「継続開催」のエネルギーになっていると確信しています。各県の実行委員の皆様に心から感謝申しあげます。
 今回も、各県の実行委員の皆様の推薦により28の実践事例が集まりました。また、例年大好評の三浦清一郎先生の特別報告「現行施策で地方創生はできませんー国土の均衡発展:その原理と方法」と、特別企画として第1部「『小中学校聴講制度』の先見性と未来性」、第2部「『生涯教育実践研究交流会』の意義と使命」を企画しました。「『消滅自治体』を救うのは何か」や、高齢者の知恵の活用や地域と学校が一体となった学校活性化の具体策等が浮き彫りにされると期待しています。また、「チーム学校」による「学校・家庭・地域等の一体的連携の在り方」や「地方創生に向けて地域の実践者が実行委員となって地域を創生する手順手法」について、本交流会の基本理念である「未来に向けての必要」を提言して参ります。
 本会をご支援・ご指導くださいます福岡県教育委員会、福岡県立社会教育総合センターに心より厚く感謝申し上げます。


                                                             代表世話人 古市 勝也
                                                             
発表内容及びプログラム
 ■5月20日(金)情報交換会 19:00~
 ■5月21日(土)
  ◇開会式 10:15~10:45
  主催者あいさつ  福岡県教育庁理事 友野 晃
 ◇実践発表① 10:45~12:30 12事例発表 
・4つの知恵の輪!地域を越えた文化祭スタンプラリー(鳥取県倉吉市)
   倉吉市明倫公民館 主事  山本 明子
   倉吉市関金公民館 主事  佐々木 由香


・「学びのカフェ」物語~ひとが変わり まちが変わる~(佐賀県伊万里市)
   伊万里市民図書館 係長 末次 健太郎

・民設民営古民家体験工房「とらいかん」での体験、交流、学習プログラム(長崎県佐世保市)
   古民家体験工房とらいかん 代表 柴山 節子

・「地域の記憶遺産:八幡大空襲を語り継ぐ」-「語り部」の発掘「聞き書きボランティア」の養成・記録集の発行・教育への応用-(福岡県北九州市)
   北九州市立平野市民センター 館長 渡辺 いづみ

・防災教育キャンプで地域をつなぎ、子どもと自然をつなぐ(熊本県山鹿市)
   県教育庁教育総務局社会教育課 社会教育主事 小園 貴寛

・みさと家庭教育10選(実践) ~地域が発想し、地域が実践する「家庭の教育力」向上戦略~(宮崎県美郷町)
   美郷町教育委員会 主幹 鎌田 次郎 

・井原市「夢源」・「みらいのひかりをつなげ」プロジェクト~若者よ、自分をつくり、仲間をつくり、夢をつくり、地域の未来を拓け~(岡山県井原市)
   井原市教育委員会学校教育課 指導主事(主査) 藤井 剛

・中学校をコミュニティづくりの核とし、地域活動を通して中学生の「志」を育てる 
~キャリア教育で地域と学校を繋ぎ、地域の力を借りて豊かな体験活動を創る~(島根県)
   島根県教育庁社会教育課 社会教育主事 福本 修司

・高校はないが、高校生はいる:「With you 翼」
 ~南部町高校生サークルの地域貢献と自己教育~(鳥取県南部町)
   南部町教育委員会 人権社会教育課 主幹 大下 真史

・退職後の人生をブログで紡ぐ ~後期高齢者による生涯活動の情報発信~(鹿児島県姶良市)
   加治木高齢者学級 高齢者学級受講生 瀬上 征一

・おごおり熟年集い塾 ~学習と交流を目的とした市民による市民のための手づくり講座~(山口県山口市)
   おごおり熟年集い塾 主宰 重村 太次

・福岡県立ありあけ新世高等学校「てっぱん部」の社会貢献活動(福岡県大牟田市)
   福岡県立ありあけ新世高等学校 「てっぱん部」

 ◇実践発表② 13:30~16:15 16事例発表
・家庭教育支援チーム”親ぢから”の理念と実践 ~教育現場と連携して、きめ細かく繋ぐ・繋がる~(広島県尾道市)
   尾道市向東地区家庭教育支援チーム”親ぢから” 代表 緒方 恵理子

・学童保育のない町の放課後の教育力 ~地域ぐるみの放課後子ども教室~(山口県上関町)
   上関町地域教育ネット 統括コーディネーター 岩木 和美

・「教育・保健福祉」の連携によるアウトリーチを基盤とする家庭教育支援(高知県)
   高知県中芸広域連合 保健福祉課 課長 廣末 ゆか 

・「家庭教育地域リーダー養成講座」の実施 ~「くまもと親の学び」プログラムをマスターしよう~(熊本県熊本市)
   NPO法人 教育支援プロジェクト・マスターズ熊本 理事長 石井 憲子

・児童館を核にした防災の地域づくり~中学生の地域活動への熱意が地域を動かす~(沖縄県浦添市)
   まちづくりNPOうらそえ(浦添市立森の子児童センター) 職員 桃原 弘子 

・中高生ボランティアグループ「とよかわっしょい!」の地域貢献と自分育て(島根県益田市)
   豊川地区つろうて子育て協議会  事務局 河野 利文 ほか中高生ボランティアリーダー 2名 

・サロンと講座を組み合わせて体系化した子育て支援策~子育て世代から次世代まで~(鹿児島県南九州市)
   南九州市教育委員会社会教育課 主幹兼社会教育係長 東 浩二

・わくわく交流広場 ~「子育て支援委員会」が作り出す活力と協働~ (鳥取県鳥取町)
   鳥取市立末恒地区公民館 主事 森本 綾子

・学びあうコミュニティの創出と支援者育成プログラム ~住民の「参加」と「協働」を進めるために~(佐賀県佐賀市)
   佐賀市立循誘公民館 主事 江口 直隆

・お父さんが「気軽に子育て!」をする仲間づくり活動:「パパラフ」(福岡県久留米市)
   パパラフ 代表 馬場 義之

・NPO「協育」アドバイザーネットの理念と方法~5年間の成果と総括(大分県別府市)
   NPO法人大分県「協育」アドバイザーネット 事務局長 安達 美和子
   人と本を結ぶ読書支援プロジェクト「ゆい(結い)」 主宰 佐藤 真由美


・ホタルを守り、「ホタル舟」を工夫し、町を創る(山口県下関市)
   豊田町観光協会(ホタル舟実行委員会) 観光開発部長 伊藤 孝之

・「朝活」と「プレゼンサークル」で繋がり、高めあい、実践に踏み出す~社会人サークルが目指す生涯教育・まちづくり活動の理念と方法~
(熊本県熊本市)
   くまかつ!主宰・熊本プレゼンサークル  代表 大谷 瑛美

・愛媛のおやじ井戸端会議から全国大会の開催まで~「おやじの会」が作り出す人的ネットワークと地域活動~(愛媛県松山市)
   愛媛のおやじ井戸端会議 会長 佐川 良

・「パートナーデー」の啓発として、公募の「一言メッセージ」を組み合わせた「結い」の会の男女共同参画への挑戦(佐賀県佐賀市)
   佐賀市男女共同参画ネットワーク:「結い」 会長 草場 真智子

・子どもがきらめく、地域主体の交流・克服体験活動の展開 (福岡県広川町)
   広川町教育委員会生涯学習係 一般職非常勤職員 貞苅 えり子

 ◇実践発表の様子 


 ◇特別報告 16:30~17:00
テーマ:「現行施策では地方創生はできません
-国土の均衡発展:その原理と方法-「消滅自治体」を救うのは、小中学校の地方分散事業である-」
     三浦 清一郎(生涯学習通信「風の便り」編集長)
  

 ◇大会交流会 17:30~20:00
  
 ■5月22日(日)
◇特別企画 第1部 「小中学校聴講制度」の先見性と未来性 9:00~10:10
 -予算の要らない「生涯教育」、「世代間交流」、「教室の覚醒」、「高齢者の脳トレ」-
 

 登壇者  
河村 共久 (愛知県扶桑町 元教育長(公社 全国公民館連合会理事))
中村 隆象 (福岡県古賀市 市長)
増野 淳一 (山口県宇部市立上宇部小学校 校長)
コーディネーター  三浦 清一郎(生涯学習通信「風の便り」編集長) 

◇特別企画 第2部 「生涯教育実践研究交流会」の意義と使命 10:25~11:45
 -「仕掛人」に聞く組織化の手順・方法・成果と実態-
 
 

 登壇者  
鈴木 昭博 (茨城県教育庁総務企画部生涯学習課 社会教育主事)
坂井 孝吏 (前高知県教育委員会事務局生涯学習課 主任社会教育主事)
中川 忠宣 (大分大学COC+推進機構 特任教授) 
降旗 友宏 (元長崎県教育庁生涯学習課長、現内閣官房日本経済再生総合事務局 参事官補佐)
コメンテーター  森本 精造 (前交流会代表世話人、前飯塚市教育長) 
コーディネーター  古市 勝也 (中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会 代表世話人) 
◇総括 閉会式 11:45~12:00
 
 
参加者の声 (抜粋)
 ◇実践発表について
・地域性をいかし、各年代においてきめ細やかな支援がなされていてすばらしいと思いました。今後の活動の参考にしたいと思います。
・中高生ボランティアの意識の高さに驚きました。地域の若い力を引っ張り出したいと思います。
・実態をしっかりと把握した中で、教育と福祉が連携し、継続的な伴奏支援がなされている地域体制づくりについて知ることができた。
・学んだ成果をいろいろな場で活かしながらスキルアップしていけるような仕組みづくりが必要だと思いました。
 
◇特別報告について
・地方創生のカギを握っているのは子どもであると実感した。思い切った施策が必要だと思う。 
・新しい発想、ダイナミックな施策の提案にチャレンジしていくことの大切さについて改めて考えさせられた。
・行政職として耳が痛かった。でも、動かなければならないと思い、そのパワーをもらった。

◇特別企画について
・学校、行政、地域の連携の中で進められるものがありそうだと思った。 
・学校開放、高齢者と子どもは同じ波長、同じ時間の流れ方をしている。なるほど!これだと思った。
・小中学校聴講制度の内容がよくわかった。この概念を知らなかったので興味深かった。
・「まずは、やってみる」この考えは、何をやるにしても大切だと改めて思いました。
・初めての苦労や継続することの難しさを学べた。
・この大会の理念が各地に広がっていることをすばらしく思う。50回、100回と続いてほしい。
・熱意と敏速な動きで実現した大会に感動しました。
・社会教育の役割がわかったような気がします。

◇その他の声
・実践発表、交流会での新しい出会い、再会の喜びを感じ、特別報告、特別企画では新しい視点をいただいた。2日間でとても内容の濃い時間を過ごせた。 
・大会交流会では、多くの方と知り合うきっかけとなり、とても楽しい時間でした。
・いつもながら「雷に打たれた」思いです。
・こんなに熱い方々がいるとは思いませんでした。とても刺激になりました。
・社会教育の本質に触れさせていただき大変勉強になった。明日の活力になった。