事業報告
 平成28年度
現代的課題対応研修
公民館事業活性化研修会
 
 期 日  平成28年11月30日(水) 9:50〜15:40
 参加者   74名
 事業内容
(テーマ)力をデザインする公民館事業について考えよう
〜超高齢社会への対応等、現代的課題に応じた事業づくりの視点を持って〜
 超高齢社会・人口減少社会における高齢者の社会参画など現代的な課題に対応するため、また、一億総活躍社会の実現に向けて、長期的ビジョンを明確にした地域デザインという観点から、県下の公民館が担う役割を新たな視点に立って見直し、公民館事業の一層の活性化を図るとともに、地域づくりに寄与します。
 内容の実際
【研修1】(講演)「超高齢社会における公民館の可能性」
講師 大阪教育大学生涯教育計画論研究室             
教授   堀 薫夫 氏 
 中央教育審議会生涯学習分科会「超高齢社会における生涯学習のあり方に関する検討会」委員や国立教育施策研究所「高齢者の地域への参画を促す地域の体制づくりに関する調査研究委員会」の 委員をされるなど、高齢者教育の第一人者でいらっしゃる大阪教育大学の堀先生に「超高齢社会における公民館の可能性」について大きく4点  @超高齢社会の到来 A生涯学習社会における公民館 B高齢者の学習の特徴 C公民館における高齢者学習の支援について講演いただきました。
 「高齢者って言いますけど、みなさん何と呼んでいますか」「何歳から高齢者って言うかわかりますか」という問いかけで始まりました。 参加者のみなさん「老人」「シニア」「65歳」「70歳」と、それぞれの答えがありましたが、根拠というものはないということです。ただ、一般的に高齢者と思われている年齢と、 実際の高齢者が「自分は高齢者」と思う年齢にはズレがあるということがわかりました。
 次に、公民館の基礎について説明いただきました。今回の参加者の中には、何年も公民館に関わっている方もいれば、初めて公民館に関わっているという方も多くいらっしゃいました。 そのようなさまざまな経験年数の方の研修での基礎的な内容は、法的な根拠等がわかってよかったとの感想もありました。
 また、高齢者の教育とは「超越的ニーズ」であり、ただ単に生存へのニーズではなく「人生の有限性を乗り越えることにある」と話されました。このためにも、公民館が教育施設として 高齢者の自己実現や社会貢献できる場としてあるべきではないかと話していただきました。
 参加者のみなさんは、うなずきながらメモを取っていました。
 90分間の講演でしたが、時間が短く感じられ、、中身の濃いものでした。

【研修2】(事例発表)「本音で答えます!『ブレない!』『くじけない!』『学びのカフェ物語』の裏話」
実践発表者 広島県大竹市立玖波公民館        
職員 河内 ひとみ 氏
 平成26年度、第67回優良公民館表彰において最優秀館を受賞された、広島県の玖波公民館の河内ひとみさんに「学びのカフェ」のその後を含めて発表していただきました。
 河内さんは、一昨年度、当センターの「中国・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会第34回大会」でも発表いただいております。その場では20分の発表時間であったため 「もっと聞きたかった」「質問したかった」という言葉をいただきました。そこで、この研修会では、50分の発表、20分の質疑応答とたっぷり時間をとらせていただきました。
 河内さんの取組には3段階があり、「新規来館者がない」、「貸館状態である」という玖波公民館の課題に「くじけずに」向かい合い、「学びのカフェ」というおしゃれ空間を作りだしました。まずは、公民館を 「行ってみたくなるところ」に作り上げたところで、第一章の幕が閉じます。しかし、河内さんはこれで終わることなく、第二章として公民館に来た住民とともに 「地域課題」に「ブレずに」取り組んでいきます。その中から生まれていくのが、「地域ジン」という主体性を持って活動する玖波の住民の方々です。河内さんは、「自然発生的に」とおっしゃっていましたが、 そこには、河内さんの活動する姿だったり、くじけない、ぶれない姿だったりが住民を巻き込んでいったのではないかと考えられます。その証拠に、「地域ジン」の姿を見て、「中学生地域ジン」 が育っていっています。
 質疑では、発表テーマにありますように、予算のことなど「本音」で答えていただきました。
 参加者の皆さんは、初めは河内さんのような方がいたからできた、自分ではできないという思いのようでしたが、どこの公民館でも課題としている公民館課題・地域課題に向かい合い、 中・長期的なビジョンをもって取り組んでいくことの大切さをつかんだようでした。

【研修3】(グループ協議)「現代的課題に応じた公民館事業とは何か」 〜こんなことからやってみよう〜
 今回、ご参加いただいた研修生の皆さんに、「公民館長」「公民館主事」「社会教育施設」「行政」のそれぞれのグループに分かれていただき、グループ協議を行いました。
 まず、講義・事例発表の中から心に残っている言葉を出し合いながら、自己紹介を行いました。
 名刺交換をしているグループもあり、さっそく講義・事例発表で話された「つながる」ことの大切さを実践されていました。
 次に、「あなたが事業を行う上で大切にしているポイントは?」「その現状は?」について自身を振り返っていただき、グループで出し合いました。参加者の皆さんの中には、 初めて公民館に関わった方から、もう何年も公民館で働いている方もいらっしゃり、経験年数が様々な中、意見を出し合いながら、もうアドバイスが始まっていました。
 大切にしているポイント=事業の目的、現状=結果としてとらえ、それをつないでいるのが手法である「事業」とし、自身が目的をしっかりもって事業を行っているか 見つめ直していただくことをねらいとしていました。そのために、事例発表を思い起こし、玖波公民館の「学びのカフェ」「地域ジン」の取組を目的・手法・結果に分けて説明していきました。 ここで、自身の取組と、玖波公民館とのちがいから、目的をもって事業を行うことの大切さを再確認されたようでした。グループ協議を通して、、それぞれの経験を出し合い、真の目的は何か話し合っていただきました。
 そして、社会教育主事から「目的をもつために、地域課題をつかむことの大切さ」について説明しました。地域課題をつかむために、住民懇談会・タウン・ミーティングなどの方法があることや、 地域課題をつかんだら、それが解決できる見通しから長期ビジョン・中期ビジョン・短期ビジョンにわけて計画を立てることが大切であることなどを説明しました。
 最後に、自身が職場でやってみようと思うことや本日の学びを考え、グループ・そして全体で共有していただきました。
 終日の研修でしたが、「一日の研修ではなく、何回にかに分けてじっくりしたい」「泊まってでもグループ協議をしたい」などの声をいただくなど、とても充実した研修となりました。
 
 参加者の声
【研修1】(講演)「超高齢社会における公民館の可能性」について
現在と今後が再確認できました。「どげんかせんといかん」改めて危機感を感じました。
団塊世代をいかに地域へ取り込めるかが課題です。高齢者への視点を改めて感じることができました。
公民館が教育施設であることをあらためて感じた。高齢化の中でも地域の方々のふれあいの場となるように手助けしたいと思いました。
超高齢社会の中で、いかに健康な高齢者を活用していくか考えさせられた。
団塊世代の方々の話など自分の住んでいる地域に関して「ああそれでだったのか」と納得できることが多くあった。団塊の世代で生まれました。先生が話されたように、退職していろんなことに関わってきています。
2030年問題、超高齢社会の件、10年後15年後を視野に入れて考えねばと思いました。
超高齢者会において、公民館の重要性を深く感じた。そのための準備や仕掛けをやくさん公民館から発信していかなければ!
全国的な情報や国の施策など勉強する機会が少ないのでよかった。
超高齢社会についてあまり考えていませんでしたが、本日の講演で考えさせられました。
公民館主事6年目ですが、戦後から現在までの社会教育公民館の歴史的なこと、減殺の問題点がよくわかりました。公民館でこれからしていく方向性を考えさせられました。
公民館が、社会教育と福祉の両面が今後のキーワードになると思いました。
高齢化社会における公民館の位置づけをわかりやすく学ぶことができました。また、公民館の役割も再確認できました。
時間がもう少し欲しかった。事例ももっと。(ゆっくり聞けたらよかった)7人
【研修2】(事例発表)「本音で答えます“『ブレない』『くじけない』『学びのカフェ物語』の裏話」について
視察に行きたいと思いました。
一人のキーマンの問題意識が大きな輪に広がったことに感銘しました。
「人を動かす力」にあっぱれー!
一人で地域カフェを立ち上げ、地域が活性化したことはすばらしいと思いました。
自分だけで学ぶのではなく地域住民の主体的な活動へとかわっていったところは、ほんとに参考にしたいと思います。
公民館を「オシャレ」な空間にする。=誰もがいってみたい公民館づくり。
公民館をここまで地域の核とすることが本当にすばらしい。その手法など教えていただき、今後本当に参考になりました。
危機感を抱かれながら、新しいことに次々と挑戦されている姿に力をもらいました。
学びのカフェが地域住民のつながりを作り、常に進歩している。感動しました。ありがとうございます。
河内ひとみ氏の発想すばらしいです。特に「ひと」が変われば「まち」が変わる「まち」が輝く。心にのこりました。感動のみです。
このような町になりたいです。
様々な講座はどれも楽しそうで、それがうまく発展していっている様子がよくわかり、企画・立案・展開と参考にできる事がたくさんありました。同じような事を考えていましたので、一歩を踏み出そうと思います。
高齢化地域間の関係性のうすさなど、同じような問題から長期的にまちづくりにまでつなげていけたことについてたいへん感動しました。やる気がでました。
学びを地域活動にいかすことが重要。
実際に現在置かれている状況が似ている中で、「学びのカフェ」の事業で成功されているので参考になる点は多かったです。
「くじけない」公民館活動にあたって、考えること、困ることなどありますが、何事にも「くじけない」気持ちでがんばろうと思いました。
事例がとても参考になりました。地域の方々に主体的にやっていただくための工夫についてもっと知りたかったです。
【研修3】(グループ協議)「現代的課題に応じた公民館事業とは何か」 〜こんなことからやってみよう〜 について
地域性はあるものの、互いに立場を理解できることこそが勉強になる。
大きな市小さな町に関係なく、どの自治体や地域も同じ課題や問題があり、どう解決していくか悩みながら薦めていくことがわかり、勇気・やる気をもらえた。
他の公民館の現状と課題、取組などを知ることができ、大変参考になりました。
福岡市の先進的な事例を教えてもらいよかった。
公民館を利用する方の固定化、どこにでもある問題として認識できた。
めざす町、めざす公民館にするために、行きたくなるような、参加したくなるような事業の提案。
グループメンバーと仲良くなりました。今後の再会を楽しみに。
参考になったが、デーブルごとにもっと話し合い・交流をさせてほしかった。中央の司会より、各テーブルの中心の方に進行を任せていただく方が良いと思います。いろいろな立場の社会教育関係者があつまっているので、いろいろな地域のことをグループ内で聞きたかったです。