事業報告

 平成30年度  現代的課題対応研修

学校とともにある地域づくり・人づくり推進セミナー@

 
 期 日  平成30年6月18日(月)
 参加者   62名
 趣旨
 地域住民が参画し、地域全体で子どもたちの成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動や放課後支援活動を推進するため、関係者の理解促進とコーディネーター等の育成を図り、今後の取組の充実につなげる機会とする。
 活動の様子

【説 明】<事業説明>「学校とともにある地域づくり・人づくりを進めていく上で」

 福岡県立社会教育総合センター 指導主事
 時代の変化にともない、これからの学校と地域の目指すべき連携・協働の姿として、学校を核とした地域づくりの推進が求められています。そのような中、平成27年に中央教育審議会答申が策定され、地域全体で子どもたちの学びと成長を支えるとともに、地域を創生する「地域学校協働活動」の推進が提言されました。これを契機に関係法令が整備され、平成29年に改正された社会教育法では、地域住民等と学校との連携協力体制の整備や、普及啓発活動などの措置を講じること、また、コーディネーターとしての役割を果たす者について、地域学校協働活動推進員として教育委員会が委嘱できることとする規定が設けられました。
 本県でも本年度は、「学校と地域の効果的な連携・協働推進事業」を重点事業として学校を核とした地域づくりの推進を図っています。本研修会では、地域と学校をつなぐ先進的な取組事例等を通して、学校とともにある地域づくり・人づくりにおける関係者の理解促進と今後の取組の充実につなげる機会としました。

【研修1】<事例発表>
     「子どもを中心に据えた、地域と学校の連携・協働」

 講師:特定非営利活動法人まちと学校のみらい
 代表理事 竹原 和泉 氏
  竹原氏は、3人の子どもを日本・フランス・米国で育てボランティア活動やPTA活動に取り組まれました。横浜市東山田中学校区コミュニティハウスの館長を11年務められ、その後、東山田中学校ブロック学校運営協議会会長に就任。地域学校協働本部とともに、学校と地域の連携協働を推進されています。
 事例発表では東山田中学校区の取組を中心にお話しいただきました。中学校でのキャリア教育の中で、職場体験や模擬面接を地域と学校が協働して行っていることや、校区の情報共有の取組として、コミュニティカレンダーを学校と地域が連携して作成し、地域全体が活用していることなどを報告していただきました。また、コーディネーターとしての役割や、関係者が集まる場づくり、ボランティアとして活動する上での心構え等もお話しいただきました。最後に、地域と学校がパートナーとして協働していくために、学校は「地域とともにある学校」のための学び、家庭は当事者意識の醸成、地域は地域コーディネーターや学校支援ボランティア等の新しい学びが大切であり、子どもの学びを通して大人も学ぶことが重要であると話されました。

【研修2】<対談>
     「学校と地域がパートナーとなるために」

特定非営利活動法人まちと学校のみらい 代表理事 竹原 和泉 氏
九州大学大学院人間環境学研究院教育学部門・社会教育学 准教授 岡 幸江 氏

 研修2では、竹原氏と九州大学大学院准教授の岡氏のお二人に御対談いただきました。その中の学校と地域をむすぶ場の工夫の内容では、会議の席も工夫し、多くのファシリテーター役がいることや、熟議(熟慮と議論)を重ねていることを話されていました。会議の場が当たり前の場にならないように工夫されている様子がわかりました。

【研修3】<講義>
     「学校を核とした地域づくり・人づくり」

九州大学大学院人間環境学研究院教育学部門・社会教育学 准教授 岡 幸江 氏
 研修3では、岡氏より学校を核とした地域づくりについて御講義いただきました。これからのポイントとして、学校と地域の連携が、一緒に何かを行う「活動レベル」から、どのような資質・能力を育むのかを学校と社会が共有の上、連携する「教育目標レベル」へ社会全体が転換していく必要があることや、地域として人を育てていくために、学校と地域がプロセスに向き合う学びを構築することなどを話していただきました。また、学校を中心としたまちづくりにおいて、歴史上、初期の学校は地域の土地や資金をもちよって建てられたことが多いことや、地域のリーダーとして教師の存在が多くあったこともお話しいただきました。最後に「子どもの未来」を中心におくことで人の思いもつながっていくとお話しされました。

【研修4】<協議>
     「パートナーとしての学校とともにある地域づくり・人づくりを目指して」

 異なる立場の方に3〜4人1組となっていただきグループ協議の場を設定しました。まず、それぞれの地域や立場で、学校と地域が連携・協働している取組について紹介していただきました。その後、その取組が学校と地域それぞれにとってメリットやデメリットがあるかを考え、交流しました。そしてグループでアイデアを出し合い、それぞれの取組が学校も地域もWin-Winの関係になるよう協議しました。この協議を通して、学校と地域が共通の目標を持って子ども育てることが、地域人材を育てることにもなり、今後の地域をつくっていくことへつながっていることが共有できました。
 
 参加者の声
 【研修1】<事例発表>
見かけだけの連携になっていないか、自分の地域と学校のことを考える機会となった。
子どものことを中心にした具体的な取組がよくわかった。
職場やプライベートで実践している場で感じていたことと共通し同意できる内容と、そこから一歩踏み出すためのヒントにあふれていた。
学びに活かす9年間から可視化することの重要性、コーディネーターの活動のヒントをいただいた。
行政の立場で地域・学校の「人」キーパーソンとの連携に取り組む覚悟を持たねばと強く思った。
小さな成功体験の共有が大切だということが理解できた。
   
 【研修2】<対談>
コーディネーターをどのようにとらえるかを研修で具体的に掘り下げてもらえた点が参考になった。
場をつくることを大事にする視点が良く参考になった。
東山田中ブロックの学校運営協議会の役割と活動事例はとても参考になった。
   
 【研修3】<講義>
「地域とは」「地域の在り方」など基本的な考え方を再確認できた。
現在までコミュニティセンター中心で高齢者事業に偏重した活動で、青少年に対しては薄かった反省あり。子どもと世代間交流に整理して事業を考える。
   
 【研修4】<協議>
県内様々な状況をうかがえて大変良かった。参考になった。
学校が思っていること、障がいになっていることが具体的にわかってよかった。
思いもしないアイデアをいただいてありがたい。ぜひ検討したい。
連携がうまくいかない理由について、他メンバーの話を聞きながらいろいろ考察できた。
   
 【全体の満足度について】
参加しやすい時間(日程)でした。CSへの見通しがもてた。
参加したことでたくさんの気づきを得て何かにつなげていけるように思えた。
今年度のCS指定校なので、立ち上げに向けとても勉強になった。
協議を通じて意見交換ができ、大変勉強になった。