幸若舞
【こうわかまい】

楽器・道具等の特徴
 舞の内容が軍記物なので、道具・衣装には武士の習慣が多く取り入れられている。後幕の紋は、「陰陽の菊」「五七の桐」「下り藤」。上部の飾り幕の絵柄は「五七の桐」「雉を抓む鷲」「鯉の滝登」。衣装には紋がつき、背に絵柄がある。太夫は「五七の桐」の紋。シテは「鶴」の紋と「雉を抓む鷲」。ワキは、「下り藤」の紋と「鯉の滝登」。舞堂の舞台は、太夫が歩行する「ツメ」の時にその足拍子がよく響くように、床が二重張りになっており、その床下には大きな瓶が埋め込まれている。

禁忌についての言い伝え
 なし。

その他
 幸若舞は「白拍子」「曲舞」と影響しあって成立し「人形浄瑠璃」「能」「歌舞伎」などに影響をあたえている。白拍子舞は、平安時代末のころ舞楽から派生したといわれている。これを舞う女性のことも白拍子といい、源義経に愛された静御前などが有名である。曲舞も白拍子舞に起源があると考えられている。ただし、この曲舞は、現行の幸若舞とはかなり性質を異にしており、短い謡物の形式だったらしい。幸若舞はこれらの先行芸能の影響を受け、新しい形の曲舞として成立したものと考えられる。日本思想史上、文学史上、芸能上、相当価値あるべきものが、書物の文字の上にのみ見得るのでなく、実際生きて舞台の上に今日なお上演されているという事は大いに注目される。鼓方は幸若舞を代々受け継いできた家元が行う役であるが、後継者の人々が、太夫、シテ、ワキを演じる場合は、経験年数の多い人が家元に変わって鼓方をすることもある。








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