事業報告

 令和5年度 交流研修

中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第40回大会

 

 主 催  福岡県教育委員会 日本生涯教育学会九州支部 

 主 管  中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第40回大会実行委員会 
      福岡県立社会教育総合センター

 期 日  令和5年5月20日(土)・21日(日)〔情報交換会5月19日(金)〕 

 参加者 情報交換会:60名、宿泊者:66名
     1日目:399名、交流会:247名、宿泊者:174名
     2日目:229名          参加者数合計(延べ) 628名

 代表世話人挨拶 
 テーマ 地域のウェルビーイングの実現 ~社会教育・生涯学習が中核~  

 令和5年は、社会教育・生涯学習の仲間にとって、「『コロナ禍』からの脱却!交流活動の再生!」です。昨年から今年にかけて新型コロナに関する規制が徐々に緩和され、5月8日には、今の「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類」に移行することが決定しました。生活がコロナ禍以前に戻ることが期待されているのです。
 まさにこのタイミングで、記念すべき第40回「中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会(以下「交流会」)が開催されることは、社会教育が大切にしてきた「集い・学び・つながり・行動する」という「活動の原点」を確認する場になると確信します。それは、3年ぶりに開催した第39回「交流会」で、中国・四国・九州地区という広域の地域から「人はなぜ集うのか」の原点が分かったからなのです。すなわち、人は、実践活動の友に「会いたい・認め合いたい・手応えを感じたい」、そして「つながり・認め合う仲間」を求めていたのです。今大会も、学び・活動の仲間と「交流会」の原点を確認し合いたいです。
 一方、令和5年3月、教育基本法に基づく「第4期教育振興基本計画」(令和5~9年度)の答申がなされました。注目は、今後の教育政策の総括的な基本方針として「①持続可能な社会の創り手の育成」、「②日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を挙げていることです。特に、ウェルビーイングとは身体的・精神的・社会的に良い状態であると定義しています。それは「一人ひとりが幸せであるとともに社会全体も幸せでもある良い状態」と言えます。そして「欧米の価値観にとらわれず、日本ならではの考え方に立つべきだ」として、具体的な要素として幸福感、協働性、利他性、自己実現などを挙げています。
 まさに、永年社会教育が日常生活を通して大事にしてきた、ご近所さんで「集い、学び、協力し、助け合い・励まし合い、いたわり合って」推進してきた「共同・連帯」の「地域づくり」そのものです。
 今年は、コロナ禍前の28事例発表に戻しました。推薦いただいた各県実行委員会の皆さまに心から感謝申し上げます。
 さらに、特別企画として「40回大会」を記念して、40回を振り返り、次なる「未来の必要」についての提言を試みます。特に、各県実行委員会の皆さまに登壇・提言いただき、みんなが創り上げる「交流会」に発展させたいです。参加者みんなで語り合いましょう。
 本会をご支援・ご指導くださいます福岡県教育委員会、福岡県立社会教育総合センターに心より厚く感謝申し上げます。

中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会  
代表世話人 古市 勝也 

 発表内容及びプログラム


■5月19日(金)情報交換会 19:00~






■5月20日(土)
◇開会式 10:15~10:45

 主催者挨拶   福岡県教育委員会教育長 吉田 法稔 



◇実践発表(午前) 10:45~12:30 12事例発表 


●大良(だいら)の地域づくりの手法と課題
 ~小学校廃校を目前にした新たな求心力の創出~(佐賀県唐津市)
大良地域まちづくり会議事務局  金嶽 栄作 氏
●子どもたちに豊かな放課後の時間を!
 ~飯塚市放課後児童クラブの取組~(福岡県飯塚市)
教育委員会教育部学校教育課 指導主事  井上 真一 氏
●学校と地域をつなぐ地域教育プロデューサーの役割と活用(愛媛県西予市)
せいよ地域おこし協力隊 西予市地域教育プロデューサー  染田 麻弓子 氏
●地域の人が本気を出したらこうなった!
 ~未来を変える楽しいまちづくりの形~(福岡県田川郡香春町)
香春町役場まちづくり課地域つながり係  村上 有希 氏
採銅所地域コミュニティ協議会 事務局長  宮原 絵理 氏
●大豆100粒運動の10年の成果と未来へのチャレンジ
 ~運動が繋いだ縁で学校・地域・企業の輪に広がる~(佐賀県佐賀市)
地域ビジネス創出事業コーディネーター  池田 龍二 氏
●諸塚アートプロジェクトによる共創
 ~子どものチカラでミライを創る~(宮崎県東臼杵郡諸塚村)
一般社団法人ハチハチ 代表理事  森  佑介 氏
●地域でつながる未来への子育て支援
 ~子育てサロン ちくちくワンダーランドの活動を通して~(福岡県直方市)
直方市教育委員会子ども育成課幼児教育推進係  十時 恵美 氏
福岡県立筑豊高等学校 生活デザイン科主任  森田 保恵 氏
●カタろうよ!コミュニティ・スクール 地域学校協働活動(熊本県熊本市)
熊本県教育庁市町村教育局社会教育課 社会教育主事  池端 幸徳 氏
●タッグで取り組む青少年の健全育成
 ~公民館と青少年育成アドバイザーの連携について~(鳥取県八頭郡若桜町)
若桜町教育委員会事務局 主任  河本 真志 氏
●「だいすけさん、にわとりをさばくキャンプがしたいんですけど…」
 ~「にわとりキャンプ」を通して見る子どもとスタッフの育つ場づくり~(福岡県北九州市)
特定非営利活動法人KID’s work 代表理事  大久保 大助 氏
●市民生活を豊かにする場としての動物園
 ~動物福祉、ワンヘルス、ワンウェルフェア~(福岡県大牟田市)
大牟田市動物園 園長  椎原 春一 氏
●多様な教育の担い手とつながる「子ども・地域教育フォーラム」の挑戦 ~KEW(Kumamoto Education Week)の舞台を活用して~(熊本県熊本市)
熊本市教育委員会事務局地域教育推進課 課長補佐  小原 恵二 氏

◇実践発表(午後) 13:30~16:10 16事例発表


●廃校を拠点とした、ふるさと自然体験の場の創造(広島県三次市)
特定非営利活動法人ほしはら山のがっこう副理事長 ふるさと自然体験塾長  浦田 愛 氏
●廃校小学校の活用(芸術文化交流施設の誕生)(鳥取県八頭郡八頭町)
八頭町教育委員会事務局社会教育課 係長  白岩 雄一郎 氏
●生涯学習発信基地 野老山(ところやま)おとなの学校(高知県高岡郡越知町)
千斗枝グローバル教育研究所代表 野老山おとなの学校 校長  山中 千枝子 氏
●町ぐるみ「和木学園」構想 ~生涯学習を土台とした町づくり~(山口県玖珂郡和木町)
和木町教育委員会 教育長  重岡 良典 氏
●子育て支援講座「ほのぼのくらぶ」の25年 ~過去・現在・そして未来へ~(島根県出雲市)
島根県出雲市荒木コミュニティセンター マネジャー  布施 美里 氏
●山口県長門市家庭教育支援チーム「ふぁみ」の活動と成果(山口県長門市)
長門市家庭教育支援チーム「ふぁみ」 代表  久保田 啓子 氏
●夏休みは「早寝・早起き・ラジオ体操・朝ごはん」 ~40年続く、今日も元気なお話おばちゃん~(佐賀県佐賀市)
佐賀市諸富地区民生委員・児童委員  木村 泰代 氏
●子どもの居場所と若者自立支援 ~おせっかいおばさん奮闘記~(沖縄県宜野湾市)
普天間やまがっこう 代表  當山 洋子 氏
●は・あ・と・ふ・る運動と『つながり』で目指す持続可能なふるさとづくり(長崎県西海市)
西海市社会教育委員会 委員長  佐々木 義信 氏
●「地域の学びを豊かにし、地域と学校をつなぐ」 ~益田市発 社会教育コーディネーターの挑戦~(島根県益田市)
社会教育コーディネーター  八川 将也 氏
社会教育コーディネーター  辰己 遥 氏 
社会教育コーディネーター  東島 今日香 氏
社会教育コーディネーター  石井 七実 氏 
益田市教育委員会協働のひとづくり推進課 派遣社会教育主事  大峠 直也 氏
●「社会に開かれた教育課程」実現の取組 ~地域とともに取り組む教育課程~(大分県別府市)
別府市立中部中学校 校長  佐藤 裕一 氏
別府市立中部中学校 教務主任  丸山野 博紀 氏
●地域ぐるみで育てる「入来(いりき)小学校ジュニア歴史ガイド」の実践と課題(鹿児島県薩摩川内市)
薩摩川内市教育委員会社会教育課社会教育指導員(元入来小学校校長)  東原 辰巳 氏
●学童保育における「保教育」プログラムの成果と課題 ~「井関元氣塾」のその後~(山口県山口市)
井関にこにこクラブ 主任支援員  上野 敦子 氏
●リアルとオンラインの融合による交流活動の開発 ~ハイブリッドワークショップの進行術の試行~ (熊本県熊本市)
特定非営利活動法人 教育支援プロジェクト・マスターズ熊本 理事長  緒方 清美 氏 
特定非営利活動法人 教育支援プロジェクト・マスターズ熊本 事務局長  民長 博美 氏
●公民館と学校の連携による地域の活性化と地域を担う人材育成の手法 ~「SDGsセミナー」を通して~(岡山県倉敷市)
倉敷市玉島西公民館 館長  山根 敬仁 氏
●笑いの学校の卒業生は今 ~またよばれる講師になっています~(大分県大分市)
笑学校 世話人代表・おおいた観光特使  矢野 大和 氏

◇実践発表の様子 10:45~16:15 









◇特別報告 16:30~17:00 

●「幼老共生の社会教育戦略」
愛知県扶桑町の市民聴講制度と福岡県飯塚市の熟年者マナビ塾~義務教育学校の市民開放~
報告者  三浦 清一郎

 



◇第40回大会交流会 18:00~20:00




 ■5月21日(日)
◇特別企画  第1部 9:00~10:10

「教育こそ未来より先に動かなければならない」
 

  • 登壇者・聞き手:月刊生涯学習通信『風の便り』編集長 三浦清一郎
  • 登 壇 者:元飯塚市教育委員会教育長        森本 精造
  • 九州共立大学名誉教授                古市 勝也
  • 九州女子大学教授                  大島 まな
  • 聞 き 手:前放送大学副学長            菊川 律子

◇第2部 10:20~11:30 

「生涯教育実践研究交流会40年を振り返って」
 
登壇者
  • 鳥取県教育委員会事務局社会教育課                平野 靖博
  • 島根県出雲市立灘分小学校                    原田 尚
  • 広島県海田町立海田西小学校                   吉岡 康行
  • 岡山県倉敷市立第四福田小学校                  東川 絵葉
  • 前(公財)山口県人づくり財団 県民学習部             赤田 博夫
  • NPO法人高知県生涯学習支援センター               濱﨑 博志
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構国立大洲青少年交流の家    中尾 治司
  • 前 佐賀県立生涯学習センター(アバンセ)            関 弘紹
  • 長崎県社会教育支援 草社の会                  武次 寛
  • CPDI代表                          三角 幸三
  • 国立大学法人 大分大学                     岡田 正彦
  • 宮崎県諸塚村教育委員会                     竹内 一久
  • かごしま県民大学中央センター                  鵜木 孝夫
  • 一般社団法人まちづくりうらそえ(浦添市立森の子児童センター)  大城 喜江子
  • 聞き手:九州女子大学                      大島 まな

◇総括 閉会式 11:30~ 



 


 参加者の声

  • 各地の現状を理解するとともに、私の地域・活動では?と考えながら参加することができました。
  • 普段はあまり聞くことのない他県の実践発表を聞けて、とても貴重な機会でした。
  • 「人づくり・つながりづくり・地域づくり」の視点が盛り込まれており、明日からの活力源となりました。
  • 学校と行政の連携が事業協定により担当が変わっても継続できている実践を聞けてよかったです。
  • 違う立場(行政、民間、地域、学校等)でも、それぞれできることはないかなあと考えるきかっけになりました。
~特別報告「幼老共生の社会教育戦略」愛知県扶桑町の市民聴講制度と福岡県飯塚市の熟年者マナビ塾
~義務教育学校の市民開放~について~
  • 幼老共生の重要性を再認識し、世代間でつながる教育プログラムの在り方について示唆をいただきました。
  • 全ての人に学びの場を作り出すことが大切だと感じました。
  • エネルギー・迫力あふれる講演で、今後の羅針盤になりました。
  • 幼老共生について、地域の部活動指導員や、児童クラブへ多様な人材の登用など、いろんな立場の人が子どもたちにとって「先生」となることで、双方によい影響があると感じました。
  • 行政の対応やまちづくりの状況に地域格差があり、社会教育には厳しい時代になっていると感じるが、頑張っていきたいです。
~特別企画 第1部 「教育こそ未来より先に動かなければならない」について~
  • これまでとこれからの社会教育を知ることができました。
  • 方向性を示唆してもらえました。
  • 経緯を知り、関わってこられた先生方の力で継続できていることがわかりました。
  • 社会教育の大切さをすごく感じました。
  • 社会の変遷、この大会への思いが分かりました。
~特別企画 第2部 「生涯教育実践研究交流会40年を振り返って」について~
  • 本大会の趣旨と経緯について学ぶことができました。
  • 成り立ちや草創期の先生方の想いが分かり、「理屈不要、やってからモノを言う」ことを大切にしたいと思いました。
  • 実践研究交流会が実行委員の皆様のおかげで40回という実績になったことを認識できました。
  • みなさんのような方々によって、生涯教育が啓蒙されていくのだと感じ入りました。
  • 大会を支える人たちが居たから素晴らしい大会が40年続いたことが分かりました。
~その他の声~
  • 来てみないとわからない!!まさにそのとおりです。プログラムも充実でした。
  • 東京から移住した「風の人」が縁もゆかりもない土地で奮闘する、そういうムーブメントが各地に必要だと強く思いました。
  • 福岡県の職員、学生ボランティア、社会教育総合センターの方々、本当に心のこもったおもてなしで感動しました。
  • 社会教育は、これからの日本には必要不可欠だと感じました。現在の業務に誇りを持っておこなっていこうと思える、2日間でした。
  • 最初に参加してから10年が経ち、やっと、教育委員会学校教育の先生にも参加してもらうことができました。来年も参加すると言って下さるほど、刺激を与えてくださった皆様に感謝です。